この記事の要点
- 停電点検を3年に1回にしても、年次点検そのものは毎年行う
- 「信頼性が高い機器」には5つの要件がある
- 結果が不適当なら、全ての年次点検を停電点検に戻す
内規のただし書き
内規4.(7)③イは、年次点検を1年に1回以上行うと定めたうえで、ただし書きで「信頼性が高く、かつ、ロと同等と認められる点検が1年に1回以上行われている機器」については、停電により設備を停止状態にして行う点検を3年に1回以上とすることができるとしています。
つまり年次点検は毎年行い、そのうち停電による点検を3年に1回以上にする、という形です。停電しない年は、停電点検と同等と認められる方法で確認します。
「信頼性が高い機器」の要件
Q&Aの関連資料(令和3年3月 電力安全課)は、要件と、それを満たすと認められる例を示しています。例に限らず、十分な保安水準を確保できる技術的根拠があれば適合と判断するとも書いています。
| 要件 | 例 |
|---|---|
| (1) 設計・製作・施工上の支障が無い | リコール制度による届出や保安上の注意喚起等の対象となっていない |
| (2) 設備構成に一定の信頼性がある | 告示第4条第7号イ〜ニの設備条件の全てに適合する |
| (3) 設備環境上の支障が無い(適切な対策があるものを除く) | 腐食性ガス・可燃性ガス等の滞留場所、高温多湿、塩害による支障が生じる環境に置かれていない |
| (4) 次回の停電年次点検(3年後)まで信頼性に支障が無い | 前回の停電年次点検とその後の無停電年次点検・月次点検の結果が支障ない。製造者等の推奨する取替更新時期内、または適正な余寿命評価を行った |
| (5) 保安管理の体制に支障が無い | 年次点検(停電・無停電)の実施方法が保安規程または下部規程に定められている |
同等と認められる点検の方法
- 絶縁:絶縁監視装置による監視結果または漏れ電流計による測定結果が良好で、外観点検(必要に応じて超音波式部分放電探査やサーモグラフィ等による過熱部位の確認を含む)も良好
- 接地抵抗:簡易的測定方法の測定値に余裕をもって推測する方法、または過去から直近までの測定値の評価と接地設備の外観点検で推測する方法
- 保護継電器と遮断器:前回の停電時の単体の動作特性試験、トリップ回路の内部抵抗・絶縁抵抗等の評価、外観点検の結果が良好で、遮断器のグリスアップ等が適切な頻度で行われている
- 非常用予備発電装置:模擬信号等による起動・停止と、発電電圧・周波数(回転数)の正常の確認
- 蓄電池設備:セルの電圧、電解液の比重、温度等が正常
3年に1回にするまでの流れ
機器と環境を確かめる
リコール等の対象でないか、第7号イ〜ニに適合するか、設置環境に支障が無いかを見る。
過去の結果を見直す
前回の停電年次点検、その後の無停電年次点検と月次点検の結果に支障が無いかを確かめる。
保安規程に方法を書く
停電と無停電の年次点検の実施方法を保安規程または下部規程に定める。
毎年の点検で見直す
結果が不適当と判断したら、全ての年次点検を停電による点検に戻す。
Q&Aは、3年に1回の承認を得ても、点検の結果で3年に1回の停電による年次点検が不適当と判断された場合は、当然に全ての年次点検を停電による点検にするよう求めています。
よくある質問
無停電の年も年次点検は必要ですか。
内規のただし書きは、同等と認められる点検が1年に1回以上行われている機器について、停電による点検を3年に1回以上にできるというものです。毎年の年次点検は残ります。
「信頼性が高い」「同等と認められる点検」はどう判断しますか。
Q&Aは、関連資料1を参考に、設備状態を勘案して総合的に判断すると答えています。
一度3年に1回の承認を得れば、そのまま続けられますか。
Q&Aは、承認は基本的に継続されるとしつつ、点検の結果で不適当と判断された場合は全ての年次点検を停電による点検にするよう求めています。
でんき点検ノートでできること
でんき点検ノートは、事業場ごとに年次点検の予定を立て、停電日の候補を設置者に送ってリンクから選んでもらえます。過去の点検記録は事業場ごとの台帳に残るので、前回の停電年次点検の結果をすぐに見返せます。
出典
- 関東東北産業保安監督部掲載「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」
- 経済産業省「主任技術者制度に関するQ&A」(令和8年10月)関連資料1を含む
- 九州産業保安監督部「自家用電気工作物に係る年次点検の着実な実施等について(注意喚起)」(令和5年2月16日)
最終確認日
個別の判断は税理士・所轄の役所にご確認ください。